**** 怖いほどの静けさがこの世界全体の空気を襲い 目の前の空に炎のような、鳥のような 今まで感じた事の無い大きな霊気の塊が現われた。 見た事も聞いた事も無かったが それが何かは、すぐに解った。 井上さんの小さな悲鳴を聞いた。 無意識に走る足が速くなる。 汗が出る。 ただ、心の中で繰り返す。 “間に合え” その刹那。 追い風が、頭上の高い高いところで吹いた気がした。 懐かしい、気配。 くろさき…。 気が付くと僕は足を止めていた。 皆も、同じように足を止めていた。 振り返ったら井上さんと目が合った。 井上さんは、嬉しいような今にも泣きそうな 何とも言えない顔をして 「…えへへ」と、恥ずかしそうに笑った。 強がってはいたけど 井上さんは黒崎の事が心配でたまらなかったんだ。 岩鷲君が吹き出して笑った。 「お前ら、同じ顔してんじゃねぇよ」 言われて、溢れそうな涙に気付いた。 ****