**** 俺は気付いていた。 石田が俺の事を好きだということを。 そして、石田も俺の気持ちに薄々気付いていることを。 俺は自分の気持ちに素直になれなかった。 くだらない事にこだわり、 つまらない意地を張った。 ただ、常に感じ取れる石田の霊気と 根拠の無い安心感があった。 こいつは俺の近くにいる、と。 こいつはずっと俺のことを想っている、と。 卍解を習得した俺は 夜一さんへの礼もそこそこに 一刻も早くルキアの所へ、と、久しぶりの地上へ出た。 一瞬、強い風が吹いて、 ゾッとした。 いつも当たり前に感じていた いつも当たり前にあると信じていた 石田の霊気が、無い。 いくら探しても、無い。 …いや、あいつは、どんな霊気だった? どんな感じだった? …思い出せない 当たり前すぎて安心してたせいか? どんな霊気だったのか 思い出そうとする程何も思い出せない あいつはどんな顔して笑った? どんな声で俺を呼んだ? どんな目で俺を見てた? 焦る気持ちに比例して不安もどんどん大きくなる。 何も、思い出せない。 俺の中にも、居ねぇじゃねぇか 俺の中にも居ない。 何だ!? 何でだよ!! 何でお前が居ないんだよ!!!! 必死に考えて、思い出せたのは 石田の、折れそうな程細い手首だけだった。 俺は少しの間 ルキアのことも 岩鷲のことも花太郎のことも チャドのことも井上のことも忘れて走っていた。 細い細い手首を思い出しながら。 どうしようもなく情けないと思いながら。 ****